こんにちは!高校教員のあかべらです!
教員の働き方改革を考える上で避けて通れないのが部活動の問題です。
部活動がなければもっと教材研究できるのに
大会続きで全然休めない
と思ったことのある先生も多いのではないでしょうか。
文部科学省は令和5年度から休日の部活動を段階的に地域に移行する方針を出しています。
この記事を読めば、部活動の現状と令和5年度以降の部活動地域移行について知ることができます。
ただ「部活嫌だ」というのではなく、現状を知り、できることを始めましょう!
部活動の現状
部活動の位置付け
学習指導要領において部活動は「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動」とされています
(文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』2019年)。
顧問も「自主的,自発的」に部活動に参加している状況です。
なぜなら、勤務時間外の部活動指導を命令することはできないからです。
たとえ勤務時間内であったとしても、本来勤務時間内に行うべき業務を後回しにして、部活動をしている場合が多くありそうです。
「自主的,自発的」な活動であるならば、教員全員が顧問となるのはおかしいことだと思います。
また、未経験の種目の顧問になることは、大変な負担になります。
中には、未経験なのに自腹で審判の資格をとっている先生もいらっしゃいます。
部活動のために、授業準備に時間をかけられないのは明らかに本末転倒です。
文部科学省の取り組み
教員の部活動の負担が取り上げられる中、文部科学省・文化庁も改善に動き出します。
2018年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」
2018年12月に「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」
が策定されました。
ガイドラインでは、「適切な休養日の設定」の項目で活動時間について以下の記載があります。
○ 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜 日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。)
○ 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な 休養を取ることができるとともに、運動部活動以外にも多様な活動を行うことがで きるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
○ 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末 を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。
「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」
このガイドラインは1日の活動時間において一定の効果を出したと感じています。
私の担当する部活動では、休日1日中練習することはありませんし、勤務校の多くの部活動は規定を守っています。
私が高校生だった頃では考えられなかったことです。
その一方で学期中・長期休業中の休養日については、あまり守られていない状況です。
週6日活動することもありますし、長期休業中の休養期間もほぼないです。
皆さんの勤務校ではどのような状況でしょうか。
部活動の手当
平日
平日に部活動の手当は出ません…
教員には残業代が支払われません。
「自主的,自発的」に残っているんでしょ、というスタンスです。
その代わり、基本給の4%の教職調整額が支給されます。
基本給が¥200,000の場合、その4%は¥8,000。
時給¥1,000として8時間分です。
月の残業が8時間以内の教員はほぼ0でしょう。
休日
休日は部活動指導に対して手当が支給されます。
各自治体によって金額は異なるので、ここでは東京都と大阪府を取り上げます。
東京都と大阪府の部活動手当をまとめたのが下の表です。
東京都 | 大阪府 | |
---|---|---|
大会引率 | ¥5,200(8時間以上) | ¥5,100(7時間45分以上) |
練習等 | ¥3,000(3時間以上) | ¥3,600(4時間以上) ¥1,800(2〜4時間) |
東京都の最低賃金は¥1,041、大阪府の最低賃金は¥992。
なんと最低賃金以下です😭
東京都は2022年3月まで練習等の手当は3時間以上4時間未満¥3,000、4時間以上¥4,000でした。
活動時間の減少を想定した措置のようですが(教育新聞記事)、活動時間が3時間でも準備・片付け・着替え等で拘束時間は4時間を超えるでしょう。
ますますやる気がなくなってしまいますね。
東京都が支払う手当の総額は減るでしょうから、その分は地域移行のために有効に使ってもらいたいです。
部活動の今後
第4回学校における働き方改革推進本部
2020年9月1日、文部科学省で第4回学校における働き方改革推進本部が開催され、部活動の改革などについての議論が行われました。
部活動に関わる問題を解決するための具体策の一つとして、以下の取り組みを進めるとしています。
1.休日の部活動の段階的な地域移行(学校部活動から地域部活動への転換)
休日の部活動における生徒の指導や大会の引率については、学校の職務として教師 が担うのではなく地域の活動として地域人材が担うこととし、地域部活動を推進するための実践研究を実施する。その成果を基に、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこととする。
学校における働き方改革推進本部(第4回)の資料(学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてのとりまとめ等)
休日に部活動をしなくて良くなるだけで、教員の負担はかなり軽減されます。
休日に部活動指導を希望する教員についても言及されています。
地域部活動において休日の指導を希望する教師は、教師としての立場で従事するの ではなく、兼職兼業の許可を得た上で、地域部活動の運営主体の下で従事することとなる。令和3年度以降教育委員会において兼職兼業の許可の仕組みを適切に運用 できるよう、今年度中に兼職兼業の考え方や労働時間管理、割増賃金の支払い等について整理を示すこととする。
学校における働き方改革推進本部(第4回)の資料(学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてのとりまとめ等)
休日の部活動指導を兼職兼業扱いとする方針が打ち出されています。
これにより、教員の仕事と休日部活動の仕事がはっきり区分けされます。
最低賃金以下で働くことも無くなるのでしょう。
この方針が実施されれば、大きな改革となります。
部活動指導をしたい人、したくない人、どちらにとっても良い改革と言えそうです。
令和5年度が楽しみです。
懸念点
しかし、いくつか懸念点もあります。
①「段階的」に地域移行するという点
令和5年度に一斉に以降ではないので、自分の地域が全然移行されないという可能性は大いに考えられます。
財源が確保されず、結局実施されないというのはぜひとも避けてもらいたいです。
②平日の部活動について触れられていない点
平日の部活動を学校で行うならば、「休日だけ地域でやってね」というのはやりにくいと感じます。
大会参加の手続きなども教員が行うのでしょうか。
大会に関わることになれば、なんだかんだ大会引率してしまう先生もいると思います。
欲を言えば、平日含め部活動すべてを地域へ移行してもらいたいです。
大会運営
大会運営には高体連の役員の先生方が携わっています。
学校の仕事をしつつ、大会運営を行うのはかなりの激務です。
プライベート時間の犠牲の上に成り立っていると考えて良いでしょう。
前述の第4回学校における働き方改革推進本部では大会について、「地方大会の在り方の整理」とあるのみで、大会運営については言及がありません。
大会運営の外部委託も教員の働き方改革において重要だと思います。
文科省には大会運営についてもぜひ検討していただきたいです。
まとめ
本記事では、部活動の現状と今後の展望をまとめました。
今後の展望としてカギになるのが、令和5年度からの実施を目指す文部科学省の方針です。
部活動指導をしたい人、したくない人、どちらにとっても良い方針だと思います
懸念点もありますが、休日部活動指導の希望制は、ぜひとも達成してもらいたいです。
今後の動向を注視していきましょう。
私の部活動への向き合い方は以下の記事に書いています。
よろしければご覧ください。
それでは、また👋
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