- 部活動って本当に地域移行できるの?
- 地域移行するにしても人・財源は?
- 部活動が嫌すぎて仕事辞めたいんだけど…
教員の働き方改革の大本命「部活動」。
文部科学省は令和5年度から休日の部活動を段階的に地域移行する方針を出しています。
しかし、本当に地域移行されるのか疑問に思っている方も少なくないでしょう。
私の職場でも「地域移行」というフレーズは一度も出てきたことがありません。
部活動を地域に移行していくためには人と財源が必要です。
この記事では、財務省の資料をもとに部活動の地域移行について考えていきます。
財務省は部活動の地域移行に積極的、外部人材の予算も増えているが、懸念は拭えていない。
この記事を読むことで、財務省の考え方や予算、地域移行の懸念点について知ることができます。
現状を知り、来るべき地域移行の日に備えましょう!
財務省の考え
財務省は部活動について以下のように述べています。
中学校の部活動については、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図ることとされている。早期移行を図るとともに、平日の部活動についても地域移行を推進すべき。
財政制度分科会(令和3年4月21日開催)資料2
「平日の部活動についても地域移行を推進すべき」とあるように、文部科学省よりも踏み込んだ内容になっています。
文部科学省は「部活動は必ずしも教師が担う必要のない業務」と言っています。
財務省も部活動を教員の仕事から引き剥がすべきと認識しているのです。
令和4年度の予算
教員の定数
令和4年度文教・科学技術予算のポイントを見ると、小中学校教職員の定数は3,302人相当減となっています。
小学校高学年の教科担任制、小学3年生35人学級に対応するための定数改善を含めて、この減少なので恐ろしいですね。
文部科学省は令和4年度概算要求で、定数777人減を要求していたので厳しい結果となりました。
一方、教員の働き方改革推進のため、補習等のための指導員等派遣事業の予算は、78億→84億(8.1%増)と増額されました。
「指導員ではなく本丸の教職員を増やしてくれ」と思ったのは私だけではないでしょう。
部活動指導員等の予算
令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行の着実な実施に向けて、生徒が部活動に代わり地域においてスポーツに親しめる環境を構築するため、全国各地域において、指導者や運営団体の確保などの課題に総合的に取り組む実践研究を実施し、研究成果を普及・発信するほか、中学校における部活動指導員の配置等を支援する。
令和4年度文教・科学技術予算のポイント
部活動の地域移行に対して財務省は積極的です。
「子供のスポーツ機会確保・充実に向けた運動部活動改革の加速化」についての令和4年度予算は14億円です。
3億円だった令和3年度から、443.9%も増加しました。
部活動指導員の配置が加速するか見守っていきたいです。
現状、私の勤務校では令和3年度から大きな変化はありません。
人材の確保
兼業兼職としての地域活動
予算はつきました。
あとは人材です。
部活動指導員は地域の人材が担いますが、確保できる自治体とできない自治体に差が生まれます。
指導員を確保できない自治体では、教員が引き続き部活動を行うことになるでしょう。
地域移行後も教員が指導することは一定数続くと思います。
ただし、地域移行後は教員の立場ではなく、兼職兼業の立場で行うことになります。
当然、希望者のみになるので、どれだけの人数が集まるか分かりません。
しかし、全てを地域人材に頼るよりは人数が増えるでしょう。
また、兼職兼業として地域のスポーツ活動に従事するので、最低賃金は保証されます(現状は手当のみ)。
兼職兼業の懸念点
部活動をやりたい先生は兼職兼業で行い、休日ゆっくり休みたい先生は部活動に関わらない。
顧問希望制は現状を大きく変えるものです。
ただし、懸念点もあります。
準備が進んでいない
令和3年度以降教育委員会において兼職兼業の許可の仕組みを適切に運用できるよう、今年度(令和2年度)中に兼職兼業の考え方や労働時間管理、割増賃金の支払い等について整理を示すこととする。
学校における働き方改革推進本部(第4回) 議事次第 ( )は引用者注
文部科学省は兼職兼業について、令和2年度中に整理を示すとしていますが、確認する限り示されていません。
なかなか整理が難しいのかもしれませんが、なんとか頑張ってもらいたいです。
令和5年度はすぐやってきます。
平日の部活動
休日の部活動を地域に移行したところで、平日の部活動は教員が関わらざるを得ません。
部活動があると定時退勤は難しくなってしまいます。
平日も外部に移行すると、兼職兼業の先生の勤務時間が問題になります。
例えば17:00までは教員として、17:00以降は指導員として働くと、17:00までは部活動ができなくなってしまいます。
放課後すぐ部活動をする場合は年休をとっての対応になるでしょうか。
このあたりが面倒なので、文部科学省も休日の部活動から改革に着手したのでしょう。
部活動の完全切り離しへの道のりは険しいです。
よりブラックになる先生も
休日の部活動に兼職兼業で関わる場合、学校の仕事と地域活動で勤務時間が多くなってしまいます。
勤務時間の超過自体は今までと同じかもしれません。
しかし、正規の労働になるので、週40時間を超えた分は割増賃金を払わないといけません。
割増賃金の支払いは教育委員会か地域活動の運営団体のどちらが行うか調整が大変です。
36協定の締結も必要になります。
また、正規の労働のため、部活動をやりたくないから今週は休みというわけにもいかなくなります。
疲弊する先生が出てしまうことを恐れています。
まとめ
本記事では、部活動の地域移行について財務省の資料をもとに分析しました。
財務省は、文部科学省が触れていない平日部活動の地域移行も推進すべきと言及しています。
さらに地域移行を円滑に進めるための予算も増やしています。
以上から財務省は部活動の地域移行に前向きに取り組んでいると判断できます。
ただし、教職員の定数については前年比3,302人も削減しています。
教員でなくてもできることは、どんどん外部化してください。
それについては予算をつけますよ
というメッセージのような気がします。
地域移行後も兼業兼職でスポーツ活動に多数の教員が関わることが予想されます。
兼業兼職の枠組みがまだ定まっていないことが心配ですが、希望する教員のみの参加、正当な賃金が支払われる点は大きな前身になります。
部活動の地域移行は実現可能な段階に入ってきました。
今後の動向を見守っていきましょう。
コメント
コメント一覧 (2件)
初めまして。ブログ読ませていただきました。
私は30代の岩手県の公立高校教員です。
部活に関する内容や投資に関する内容を楽しく拝見させていただきました。
私は株式投資を以前してましたし、立場上部活は積極的に取り組んできた人間です。
都会と地方で様々違いはあると思いますが、色々と情報を交わせたら面白いなと思ってコメントしました。
ブログ更新楽しみにしています。
ヨウさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
楽しく見ていただけたとのこと、とても嬉しく思います。
情報交換できると面白そうですね。
これからも役に立つ情報を発信できるよう頑張ります。